♪ａｈ〜ａｈ〜 ｃａｎ ｙｏｕ ｆｅｅｌ ｍｙ ｈｅａｒｔｂｅａｔ ｗｈｅｎ I’ｍ ｃｌｏｓｅ ｔｏ ｙｏｕ ♪
（2003年7月「ＬＵＬＬＡＢＹ ＯＦ ＤＯＧ ＡＮＤ ＭＥ ０３」ライヴで朗読）
♪ａｈ〜ａｈ〜 ｃａｎ
ｙｏｕ ｆｅｅｌ ｍｙ ｈｅａｒｔｂｅａｔ ｗｈｅｎ I’ｍ ｃｌｏｓｅ ｔｏ
ｙｏｕ ♪
私はいろいろなところで、入浴する。 電車の中とか、映画館の中とかどこでも、入浴を
することはできる。では、どんなときに、入浴するのかというと、フツーのときに、する
のである。ごくごくフツーの時間を、いますごしているーーーと感じると、私はすぐに
入浴する。というより、本当はいつも、私は気がつくといつのまにか入浴していると
いうことが多い。
フツーということ、それ自体は、よくもわるくもないことであると思う。けれど、周囲の
状況によって、フツーは、ときにはよく見えたり、またときにはわるく見えたりする。
冷蔵庫から出したものを、もう一度冷蔵庫にしまうように、きのうの私をきょうの私の中
にしまうことはできない。このちょっとややこしい状況を、なんとか打破するために、
私は入浴するのだろうか。いや、肌などなければ人はおふろになど入らなくてもいいと
言った人さえ、むかしはいたのである。
たとえば、私は、ドーナツを食べ過ぎてしまったときも、入浴する。あついお湯につかる
と、ふしぎなことに、私は、決してドーナツを食べ過ぎてはいなかったのだという、
つよいきもちになる。このきもちは、すこしプライドにも似ている。だれがきいても、
とうてい、つじつまの合わない話をする人ほど、自分独自の論理をすごく大切にしている
ものである。そんな人に、「きみは、非論理的だ」なんていうことばを投げかけること
は、それはそれで、なかなかおなじように非論理的なことになってしまうのだ｡だと
すれば、やっぱり、私は、おふろに入ろうと思う。たくさん、たくさん、おふろに
入ろうと思う。私は、おふろが、すきなのである。